大切な器を長く使っていただくために(保管方法)

はじめに

どの器も最初は高台を確かめ、ざらつきがあればサンドペーパーで磨き、
テーブルや塗盆などに傷がつくのを防ぎます。
このような簡単な一手間により、器はとても使い勝手がよくなります。

陶器は米ぬか水で煮沸する

陶器は、初めに埃などの汚れを流水の下でよく洗い流し、鍋に入れて器がかくれるくらいの水と米ぬかを入れて煮沸します。
米のとぎ汁でもよいですが、これで器の焼きを堅く締めることになります。
また土肌の目が詰まるので汚れがしみ込みにくくなり、汁もれを防ぐ効果もあります。
例外は低温で焼かれた軟質陶器の楽焼。煮沸すると土目がもろくなって傷みやすいので、薄めた台所用洗剤とスポンジで洗い、よくすすいで乾かしてください。

はじめての土鍋はおかゆを炊いてから

新しい土鍋は、洗っただけでいきなりなべ物を仕立てたりすると、ひび割れたり、土のアクが泡といっしょに出てきて嫌なにおいが生じることがあります。これを防ぐために、まずは水と米を入れておかゆを炊きます。粘りが糊代わりになって土目を埋め、同時に米粒がアクを吸収します。冷やご飯、小麦粉でもかまいません。
このあと使うときは、鍋底を濡らさないように注意して、使う30分間ほど前に水を張って十分吸収させてから、弱火で煮はじめます。

土ものは料理を盛る前に水に浸す

焼締(うわ薬がかかっていない)の器は使う前に必ず水に浸しておき、土の目に水分を吸収させておいてください。。容器に水を張って器を入れ、使う前30分~1時間、余裕があるなら半日ほど浸します。小さな器の場合は水をたっぷり含ませた清潔な布で包み、使う時に乾いた布で拭きます。器自体の土味がより鮮明に、つややかな効果もありますが、盛り込んだ料理の水分や油分などが土の粒子のすき間からしみ込むのを防ぐので、汚れやにおいがつきにくく、洗いやすくなります。
使い終わったら、薄めた台所用洗剤をスポンジにつけて洗い、よくすすぎます。最後は熱湯に通し、かびないように器の水分が完全に取れるまで自然乾燥させます。

色合いの変化を楽しむ器

うわ薬に粉引や細かいひびの入った器は、使う前に浸水させて汚れのしみ込むのを防ぎます。それでも使い進むうちに水やお茶などで染まり、雨漏りという濃淡のしみが出てきます。
萩焼ではこれが器の景色とされ、変化の様子は“萩の七化け”と称されていて、昔から茶人や愛陶家に人気があります。使いこむうちに独特の風合いと色目を楽しむのも陶芸品ならではの見方です。

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